釣り人のヤル気をじわ〜っと沸かせる、ちょっと気になる釣りサイト「黒鱒.com」バスタックル
home
sitemap
link
about
銀山湖荒行
目次
三瀬谷ダムって?

釣行日
2006年8月19(土)〜20日(日)
場所
山梨県 河口湖
天候
11日(土)雨、12日(日)晴れ
11日(土)微風、12日(日)爆風
状況
全体的にややニゴリ
釣果
11日(土)キーパーサイズ3匹 1,564g43位
12日(日)ノーバイトノーフィッシュ、総合110位
ルアー
カットテールワーム、バキューム1.5インチ、ノーシンカー、ツネキチリグ、スプリットショットリグ、ジグヘッドリグ等

―― 全日本バスプロ選手権参戦記 ――

 3年ぶりに獲得できた、「全日本バスプロ選手権」の出場権利。選手生命を賭けて全力でブチ当たってきました。

 本当は、出場が決まったその日から、毎週でも河口湖へ通い込みたいほど想いを募らせていましたが、金銭的な理由であえなく断念・・・。プリプラクティスは一週間前の、11月3日(金)〜5日(日)に行ないました。


<バスプロ選手権プリプラクティス 11月3日(金)〜5日(日)>

 釣行費節約のため、往きは一般道(国道等)のみと決めているので、約7時間の道のりで河口湖へ到着。結局一睡もできないまま、11月3日(金)のプラクティスをスタートしました。

 事前情報では、数週間前に産屋ヶ崎周辺と浅川周辺で放流があったとのことだったので、まずは、放流バスに頼らないパターンを、と考え河口湖大橋より西側のエリアをチェックしましたが、結果は小アジのようなノンキーパーサイズが1匹釣れただけ・・・。 

 夕マズメのベストタイムに、「放流バスが動いたとすればこのあたりかな〜」とのノリで狙った、産屋ヶ崎〜湖波ボートさんへと続くストレッチのワンスポットで、体長約30cmの放流バスと27〜28cmのネイティブ?かもしれないキーパーサイズを2匹の合計3匹をあっという間にキャッチ。偶然にも、フィーディングバスの差してくるスポットを見付けてしまいました。

  4日(土)〜5日(日)は、河口湖でアングラーオブザイヤー決定戦が開催されており、JBルールのためプラクティスができたのは両日とも午前11時以降となりました。 

 4日(土)は、たった4人のために、5日(日)は、たった2人のために、午前11時まで河口湖は貸し切り状態になっていました。特に5日(日)は、2人とも朝一からずっと湖波ボート前より一歩も動かないというオマケ付き。酷い二日間でした。

 私のプラクティス結果も酷いもので、4日(土)はキーパーサイズが一匹のみ、5日(日)は完全ノーフィッシュ、ノンキーパーサイズすら釣れない、といったものでした。 

 これは、一日目の状況から、大橋より東側のエリアは魚影が濃いと感じたので、あとの二日間は敢えて大橋より西側しか釣りをしなかったという結果でした。逆説的に考えると、大橋より西側で中途半端に釣れなかった分、エリアが絞れたともいえます。仕事の関係で、前日プラクティスには入れないので、本戦では「大橋より東側で心中」と決め、帰路につきました。


<バスプロ選手権一日目>


「努力は報われるのか?」緊張感の高まる瞬間

 金曜日の仕事が思ったより長引き、滋賀の自宅を出発したのは午後9時過ぎ。東名高速を走行中、事故渋滞との情報が入ったので、音羽蒲郡インターで高速を降り、あとは一般道。「トーナメントに間に合うか」と、真剣に焦りましたが、なんとか午前5時過ぎには河口湖畔へ無事、辿り着くことができました。

 薄暗い中、杉田プロに手配してもらった奥河口湖の旅館「奥の湖」さんの駐車場でボートセッティング。6時30分にはなんとかボートを桟橋に着けることができ、午前7時、会場となる大池公園に向けてボートを走らせました。

 会場では、久しぶりに300人を超えるトーナメントへの参加ということで、緊張感も高まりました。スタート順は良くなかったですが、今回狙うエリアは「大橋より東側」と決めていたので、妙に落ち着いていました。

 スタート後の選手の動きを見ていると、大橋をくぐってUターンしてくる選手が大半でした。私もスタート後は大橋をくぐってUターンし、狙いのエリアを目指すと、この時点では意外と選手の数が少なく、若干の先行者はいたものの、自分の思った位置にボートポジションを取ることができました。

 ある程度は予想していた通り、ノーバイトの状態が続きましたが、他に移動すべきエリアが思い付かなかったこともあり、色々とルアー、リグをチェンジしながら、バスとの出会いを待ち続けました。しかし、さすがに2時間以上もノーバイトの状態が続くと、一睡もできていなかった極限の疲労状態も加わり、自分の中で諦めムードが漂い始めました。「万事休すか・・・」ここで、この窮地を打開するため、3年前のバスプロ選手権初出場時のメインリグ、「カットテールワームのスプリットショットリグ」を投入しようと思い立ちました。このリグは、今回の河口湖でも、まだ通用することを前週のプラクティスの段階で仲間から聞いて知っていたので、敢えて本戦まで封印していたリグでした。万策尽き果てた今、自分の河口湖での釣りの原点に戻る意味を込め、早速試してみることにしました。

 ボートポジションの水深は約7m、岸に向かってキャストし、ウィードの感触を確認しながらダウンヒルで狙いました。自分がウィードのアウトサイドラインと考えていたレンジまでリグを落としてきた時、シンカーが激しくウィードに引っ掛かりました。これをロッドワークでジャーク気味に外し、軽くスイミングさせた後、カーブフォールしていると・・・「ココッ」、明確なバイトが手許に伝わりました。後は条件反射的に体が動きスィープフッキング、放心状態のままやり取りし、ネットランディングに一度ミスしたものの、二度目はなんとか成功。降り出した雨の中、体が冷えていたことと、この夢のような出来事が(実際、居眠りかかっていたので・・・)にわかには信じ難く、しばらくの間は呆然として体が動きませんでした。

 なんとか気を取り直し、ランディングネットの柄に両手を添え、ボート上にバスを引き上げたのと同時に目から涙が溢れ出し、体は震え、声を上げて泣いてしまいました。本当に、本当に、嬉しかったのです。前週のプラクティスでは、たいした成果は得られず、前日プラクティスも無し、なんの確証もないまま、ぶっつけ本番で挑んだ今回のトーナメント。そして極限の精神状態の中キャッチできたこの一匹。特別なパターンでも何でもなく、まさに奇跡でキャッチできたこの一匹。私が参戦してきた10年間のトーナメントの中で、一番嬉しい、忘れられない一匹となりました。このような感覚は、普段の生活では絶対に得られません、私は心底、トーナメントに生き甲斐を感じています。

 震える手で、恐る恐るウェイトを測ると、約700g。他の選手にとっては、大したことのないサイズかもしれませんが、これは紛れも無い私の河口湖レコードサイズ、それが、まさか本戦で釣れるとは思いもしませんでした。「この一匹と出会えただけで、今回のトーナメントに出場した甲斐があったかな」とまで思えました。バスがライブウェルの中で、まるで何事もなかったかのように、悠然と泳ぎ出した姿を見たとき、ようやく落ち着きが戻ってきました。

 その後もキャストを続けましたが、そうそう奇跡が続くわけもなく、またノーバイトの時間が続きました。他に移動するエリアも思い付かず、途方に暮れていると、湖波ボート前の船団が視界に入りました。私が勝手に、「本戦までもたない」と決め付けていた過去放流エリア。しかし、この日は朝から船団が形成され、スタートから4時間近く経過したこの時点でも船団は形成されたまま。まさか・・・。イヤな予感がしたので、とりあえず向かってみることにしました。

 到着すると・・・そこには信じられないような光景がありました。船団の中、次々と曲がるロッド、至る所で行なわれているキーパーサイズの入れ替え。選手同士のボート間隔はほとんどなく、みんな周囲のボートのエレキ際、船外機の後ろにライトリグをピッチングで送り込んでいました。普通の湖では絶対にあり得ない光景がそこにはありましたが、それでもバスは次々と釣り上げられていました。やられた・・・。これまでの嬉しかった気持ちが、無残にも打ち砕かれた瞬間でした。

 しかしこれで、ようやく我に返ることができ、トーナメントの感覚も蘇ってきました。さあ、自分も釣らないと!既にシャローのウィードパッチエリアは全て押さえられていたので、水深約6〜7m付近にあるウィードアウトサイドエッジを狙うしかありませんでした。

 ここからは「線」ではなく「点」で狙う釣り、そう考え、ソリッドロッドに横山プロから譲ってもらったバキューム1.5インチをツネキチリグにセットしキャストすると・・・なんと一投目からバイトが!無事キャッチできたのは、約400gの放流バスとしては非常にありがたいサイズ、困った時の横山ワームの威力は絶大でした!!

 帰着時間までは、あと約2時間あるので、「このペースで釣り続けられれば、もしかしてリミットが揃うかも!」これまでの疲れは吹き飛び、急にヤル気が湧いてきました。「さあ、ここからマクってやる!」しかし、ほどなくエレキの動きがおかしいことに気付きました。どうやらマイクロスイッチが死んだようでした。よりによって、この大事な時に・・・。信じられないような幸運の後には、信じられないような不幸が待っていました。

 交換用のマイクロスイッチはいつもボートに積んでいるので、早速交換にかかりましたが、私は元々手先が不器用、それに加えて雨のせいで手先が冷え切っていたこともあり、思うように作業が進みませんでした。

 一時間近く湖上を漂流してもまだ作業が完了せず、気持ちが切れかかった時、私に近付いてくる一艇のアルミボートが。それは生野銀山湖で知り合った谷岡プロでした。生野銀山湖ではいつも私を気に掛けて、アドバイスや情報をくださる、とても温かい方です。今回もトーナメント中にもかかわらず、貴重な時間を割いてわざわざ私の様子を見に来てくださったのでした。不思議なもので、谷岡プロに励ましてもらった後、作業があっという間に進み、ようやく戦列に復帰することができました。谷岡プロ、本当にありがとうございました。

 エレキは順調に動き出したものの、残り時間はほとんどありませんでした。でも、最後まで諦めたくはありませんでした。船団へ戻り、願いを込めてキャストしたその一投目、私の願いが通じたのか、リグの着底と同時にすぐバイト!これも難なくキャッチでき、サイズはまたも約400g級!!

 しかしこのバスは、ライブウェルに入れた瞬間、腹を上にして浮いてしまいました。なぜか先の2匹はエア抜きしなくても、元気なのに・・・。しばらく様子を見ていましたが、バスの状態は変わらなかったので、エア抜きを行なうことを決心しました。久しくエア抜きをしていなかったので不安でしたが、ここは意を決してやるしかありません。バスの体に針を差した瞬間、「プシュッ」と大きな音がしたのでビックリ!しまった、エアを抜きすぎたのでは・・・。針を抜き、バスを離すと、ライブウェルの底の方に沈んで横になってしまいました。ライフガードを投入してもしばらく状況は変わらず、本当に焦りました。そうこうしているうちに、帰着時間が迫ってきたので、リミット達成まであと2匹足りませんでしたが、会場へ戻ることにしました。

 接岸後、恐る恐るライブウェルを開けると・・・なんと!3匹とも元気に泳いでいるではありませんか!私にはまだ、幸運が残されていました。小さなバスの命が本当に大きく感じられた瞬間でした。

 最初は釣れない厳しいトーナメントを予想していましたが、浅川エリアの大爆釣劇を目撃したことで、既にその思いは根底から覆っていました。それを裏付けるかのように、ウェイインは長蛇の列、ガッカリ。

 私のウェイトは1,564g、43位。結果はともかく、私に夢を与えてくれた3匹のバスに感謝し、大切にリリースしました。


この3匹のバスを一生忘れることはないでしょう。本当にありがとう。


<バスプロ選手権二日目>

 明けて二日目。夜に激しい雨が降ったものの、この日は朝から晴れ。厳しい冷え込み、そして強風が吹き荒れていました。激しい風と波で、転覆しそうになりながらも、なんとか無事に会場へ到着できました。

おかげで富士山はとても良く見えましたが・・・。

 スタート順は前日よりさらに遅く、先にスタートした選手の動きを見ていても、明らかに橋内へ戻ってくる選手の数は前日より増えていました。そしてその船列の向かう先は・・・やはり湖波ボート前に集結。私も、この日は「湖波ボート前で心中」と心に決めていたので、スタート後は迷うことなく直行しました。

 到着すると、予想通りシャローのウィードパッチエリアは全て押さえられていたので、仕方なく前日同様、水深約6〜7m付近にあるウィードアウトサイドエッジを狙いました。

 この時点では、まだ「釣れるかも」との微かな期待がありましたが、私と同様の狙い方をしていた船団のロッドは誰も全く曲がらず、逆にシャロー船団では常に誰かがバスをキャッチする光景が見られました。それでも、「いつかはバスが回って来る」と固く信じ、強烈な風波を耐え忍んでいたのですが・・・。

 晴れた天候、低温、強烈な風波、これらによりバス達は、前日よりタイトにウィードパッチに張り付いたようで、それを理解したボートポジション、釣り方、を実践している選手達にしか釣果は得られていないようでした。

 そのような中、完全に「蚊帳の外」になってしまった私には一切バイトは無く、情け容赦の無い厳しい現実、ノーバイト、ノーフィッシュのまま終了時間を迎えてしまいました。やはり、奇跡は二日間続きませんでした。

 総合順位は110位。これが、私のバスプロ選手権に賭けた全てでした。

 2007年度、私はJBトーナメントへの参戦を休止します。私がJBトーナメントに参戦して、10年になりますが、その間私が賞金を獲得できたのは、1996年に2度、2002年に3度、以上です。私は、「JBプロ」の名を語るには、賞金をコンスタントに獲得していないと、その価値はないと常々考えています。その結果が出せていないこの数年、自分自身をとても不甲斐無いと感じていました。

 ここで私のトーナメントの原点、NBCチャプタートーナメントに立ち返り、再度修行をし直すこととしました。そして、チャプタートーナメントで、納得のいく結果を積み上げ、満を持した時、JBトーナメントに、再度チャレンジしようと考えています。

 2007年度は、奥伊勢湖宮川チャプターを中心として、出場可能なNBCトーナメントには積極的に参加していく予定にしています。

FISHING NAVI
アメスタ!!
GONG OF GAME
横山的・黒鱒釣競技生活
知多道〜CHITA WAY〜
くろますなヒト
写真は一部NBC NEWSの許諾を得て記載しております。
copyright(c)2005 kuromasu.com All Rights Reserved.